料理を美味しくする卵の調理特性
たまご 2021.10.25
ブログをご覧の皆様、こんにちは!
今回は山田ガーデンファームの井上がお届けします。
急に冷え込みが厳しくなり、山形ではもう雪が降るのでは?と思うほど寒くなりました。
すき焼きや卵雑炊など、卵が活躍する季節でもあります。
卵が様々な食品や加工食品に使われているのはでも、ただ単に「卵が美味しいから」という理由だけではありません。
卵には食品を美味しくする「乳化性」「熱凝固性」「泡立性」という3つの調理特性があり、それぞれの特性を活かすことで様々な料理ができるのです。
今回はこの3つの特性をご紹介します。
①乳化性
「乳化」とは、本来混ざりあわない水と油を繋ぎ合わせ、安定状態にすることをいいます。
卵黄の約64%は油脂で出来ており、その内約16%はレシチンと呼ばれる特殊な油脂により構成されています。
レシチンは水と油の両方を引き付ける働きを持っており、通常では混ざらない、水と油を繋ぎ合わせることができます。
乳化の働きを持つ食材の中でも、卵黄はその乳化力が極めて強い食材です。
この特性はマヨネーズやバターケーキなどで活かされます。
卵黄の乳化力を利用してケーキを作ると、焼き上がりが柔らかくなり目も細かく、きれいに膨らむのです。
②熱凝固性
卵黄と卵白とでは、熱で変性するタイミングが違います。
卵黄は65℃で粘りだし、70℃で流動性を失い固まって、80℃で粉質化します。
一方卵白は、58℃から粘りが、65℃から徐々に柔らかく固まり始め、透明感を失い完全に固まるのは80℃くらいです。この温度の差を利用しトロトロの口当たりを生み出しています。
これを活かしている料理は温泉たまごやゆで卵、カスタードなどあります。
特にカスタードなど、凝固しはじめるとスピードが速い卵黄を使用する料理は、ダマにならないよう温度管理が大切です。
そのためには、『弱火』で『かき混ぜ続ける』ことがポイントとなります。
これらを意識すると、なめらかな口当たりに仕上がります。
③起泡性
卵白の中にあるタンパク質は、表面張力を弱くする作用を持っているので泡立ちやすく、泡立った気泡も空気に触れることでタンパク質が膜状に硬く変性してその状態を保とうとします。
粘度の低い水様卵白(古いたまご)は、泡立ちやすいものの気泡の安定性に欠けて、生地に穴が多くあきすかすかになってしまいがちです。
反対に濃厚卵白(新しいたまご)は、粘度が高く泡立ちにくいものの、できた気泡の安定性が高くしっかりしています。
この特性を活かしている料理は、シフォンケーキやメレンゲ、フィナンシェなどあります。
使う卵の鮮度によって、食感が大きく変わってくるのです。
食卓に欠かせない卵ですが、メインの食材として使用する際も、食材のつなぎとして使用する際も、大きな働きをしていることがわかります。
この特性を意識して料理で使ってみてはいかがでしょうか。